3
翌日、どこのワイドショーも擬古氏暗殺のニュースばかりしていた。
TVをつけると、ニュース速報+が始まった。
『昨日午前11時15分、茂名党の擬古氏が暗殺されました』
『厳重な警備のはずがどういうことだ』
, -――- 、
/ , -――- 、ヽ _____
|.|_ _|.| /
i`l´ rェ ェュ `|´! < 『ま た v i p p e r か 』
ヽ| _,ノdbヽ,_ !ノ \
,〉、'ー=‐' ./  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
-‐''"\ヽ--インー-
ブーンはオヅラアナウンサーを見ながら、メロンパンとインスタントコーヒーの朝食をとっていた。
――さて、今日は漫喫でも行くかお。ジョジョ、どこまで読んだっけ――
パジャマを着替えようしたとき、ケータイが鳴った。
「もしもし」
『やぁ。ひさしぶり。TVは見てる?』
「みてるお」
電話の向こうの人物はははは、と声を上げた。
『昼に一緒に食事でもどう?』
「どこで」
『擬古氏の殺されたホテル』
「・・・・入れるんですか」
『冗談。新都ホテルの2039号室で待ってるよ。じゃ』
「・・・・。」
ブーンはクローゼットからスーツを出し、着替える。ネクタイを締めるのに少し時間がかかった。
いつもの着古したジャケットではなく、黒いロングコートをまとう。
駅まで歩き、地下鉄に乗って30分。地上に出るともうそこは高層ビルの立ち並ぶオフィス街だ。その二駅先には運営庁がある。
鏡のようなガラス張りのビル。きれいに手入れされた植え込み、街路樹。
真新しいビルの一階に入っているモナーバックスコーヒーでは、大手銀行の制服を着た若い女性社員が二人、楽しそうに話している。
――久しぶりだお・・・できるだけ会いたくない奴だ。――なぜ、今頃。
新都ホテルは5年前に一度だけ来たことがある。そのときも、あの男と会った。
新都ホテルの入り口のドアマンは、ブーンを見ると礼をし、ドアをあけた。
中に入ると黒いスーツの男が二人、近づいてきた。
「内藤様ですね。こちらへ」
フロントを横切り、男二人の間に挟まれるようにしてエレベーターに乗る。
ブーンは男を観察した。一人はギコ種、もう一人はモララー種らしかった。
先に入ったギコ種が20階のボタンを押した。
エレベーターは音もなくスムーズに上がってゆく。誰もしゃべらない。
一回も止まることなく20階に着き、ドアが開くとまたドアがあった。モララー種が内ポケットからカードを取り出し、リーダーにと押すとドアが開いた。
「どうぞ。」
今度はブーンが一番前に立って2039号室まで歩いた。
「ボス。内藤を連れてきました」
『入れ』
さっき電話で聞いた声が答えた。
ギコ種がドアを開ける。
中に足を踏み入れる。スイートルームだった。床はフロントよりもふかふかしたワイン色の絨毯だ。
男はゆったりとソファに腰掛けていた。
「久しぶり。立ってないで腰掛けたまえ」
ブーンはコートを脱ぎ、モララー種に渡して男の向かいに座る。
「元気そうで何よりだ。」
「お久しぶりです。vip独立軍参謀長荒巻スカルチノフ様――」